歌人・鳥居さんをお迎えして――20年目の開館記念日

6月13日(水)、開館記念日の講演会に、歌人の鳥居さんをお迎えいたします。館長に就任する前から、鳥居さんと三浦文学とのつながりを感じており、今回、ご快諾いただけて嬉しい限りです。鳥居さんには、初めての旭川を愉しんでいただきたいと願っています。(鳥居さんのツイッター https://twitter.com/torii0515

2013年8月、この三浦文学館の文学講座で、「綾子さんが作った短歌」という題でお話の機会をいただきました。その最後に、「三浦綾子作品を伝えたい」現代の歌人として、実は、鳥居さんのことをお話し、当時の短歌などをご紹介していました。

 

鳥居さんは、三重県出身。岩岡千景さんによるノンフィクション『セーラー服の歌人 鳥居』(KADOKAWA、2016年)に詳しいですが、母の自死、養護施設での虐待などを乗り越え、学び直しの機会を探し、生きづらさを抱えた人々に手を差し伸べています。そのひたむきな生は、綾子さんの小説の作中人物の生に重なるところがあるように感じています。

 

鳥居さんの第一歌集『キリンの子』(KADOKAWA、2016年)は、第61回現代歌人協会賞を受賞しました。現代短歌では、芥川賞のような大きな賞です。

また、短歌総合誌の連載なども抱える多忙な中、各地で教育に関する講演も熱心に行っているそうです。

とりわけ、鳥居さんが声を挙げたのは、中学校を何らかの事情で形式的に卒業した人々に、学び直しの場を与えて欲しい、ということでした。夜間中学の門は、形式的に義務教育を終えた人々には、開かれていなかったそうなのです。

SNSなどでその問題を訴え続け、国会にもはたらきかけるなど、鳥居さんは努力を惜しみませんでした。その結果、2015年夏、義務教育修了者も、夜間中学で学び直し(再入学)ができるようになったそうです。(文部科学省「義務教育修了者が中学校夜間学級への再入学を希望した場合の対応に関する考え方について(通知)」2015年7月30日 http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/shugaku/detail/1361951.htm

 

6月13日、鳥居さんからは、さまざまなお話をうかがえそうですね。

私自身が何より心待ちにしております。

 

田中 綾

 

3冊の本~20周年記念出版を祝う会

2018年4月25日、綾子さんの生誕の日に、開館20周年記念出版を祝う会が開催されました。文学館1階ホールには90人もの方々が参加され、遠方からのご足労まで、本当にありがとうございました。

 

・未収録エッセイ集『一日の苦労は、その日だけで十分です』(小学館)

・『信じ合う 支え合う 三浦綾子・光世エッセイ集』(北海道新聞社)

・絵本『復刻版 まっかなまっかな木』(絵・岡本佳子 北海道新聞社 初版は2002年刊行)

 

この3冊が、リニューアルしたばかりの展示室の前に並べられ、祝杯と談笑のひとときを過ごしました。2階では、礼文島在住の植物写真家・杣田(そまだ)美野里さんの写真短歌展「天北の蕊(しべ)たち」も開催されており、ともにお楽しみいただけたことと思います。

 

さて、私自身、これまで何冊かの本の誕生にかかわってきましたが、今回はとりわけ、ブックデザイナーの方々の創意と熱意に感銘をうけました。

 

小学館のエッセイ集のブックデザインは、「鈴木成一デザイン室」さん。装画と挿絵は、としえさん。心がふわっとなごむ愛らしい挿絵で、女優・作家の中江有里さんの帯文が、さらにあたたかさを添えてくださっています。

 

北海道新聞社のエッセイ集と、復刻版絵本のブックデザイナーは、江畑菜恵さん。札幌市在住の切り絵作家・波佐見亜樹さんの流麗な切り絵が、惜しみなく使われています。手にしっとりと馴染む紙質と、判型(B6変型判という、めずらしい大きさ)も、さまざまに練ってくださった末の“作品”であることがうかがえます。

 

書籍は、多くの方々の創意が凝らされ、そして初めて一冊のかたちになるのですね。

こう書いて、うまく言葉にできずにもどかしい限り……これらはぜひ、お手にとって、実際にお確かめいただきたいです。

 

田中 綾

※(※動画の音声は不鮮明ですが、雰囲気のみお伝えできればと思い、編集いたしました)

道南いさりび鉄道で、函館文学散歩

先日、「北海道書店ナビ」(株式会社コア・アソシエイツ)に登場させていただきました。書店員や、出版関係者が選ぶ、“5冊で「いただきます!」フルコース本”という企画です。

5冊にしぼるのは難しいものでしたが、「三浦綾子記念文学館館長がおすすめ! 『はじめての三浦文学』フルコース」というタイトルで、漫画も含めて、綾子さんの5冊を選書いたしました。 http://www.syoten-navi.com/entry/2018/03/26/091747

 

取材してくださったライターの佐藤優子さんは、ちょうど、『“日本一貧乏な観光列車”が走るまで 「ながまれ海峡号」の奇跡』(ぴあ、2018年3月)を上梓されたばかり。函館を走るローカル線「道南いさりび鉄道」特別観光列車の、まさに「奇跡」的な人気をルポしたご著書です。http://piabook.com/shop/g/g9784835638478/

そんな折、まさに奇跡的に(!)函館出張が入ったので、優子さんのご著書を手に、“いさりび鉄道体験”をしてきました。

 

函館駅から木古内駅まで、1時間余の各駅停車の旅。往復の車内でランチやディナーを堪能できる「ながまれ海峡号」は、要予約のため、残念ながら間に合いませんでしたが、1車両で走る車窓からは、海と山、雪解け間近の樹々を眺めることができました。

“臥牛山”の愛称で親しまれている函館山を、真横からパチリ。写真好きなかたなら、この列車に乗るだけで、ベストショットを狙えるでしょうね。

 

さて、函館を舞台とした三浦綾子さんの小説といえば、『ひつじが丘』。牧師の娘・奈緒実は、函館で育ち、札幌の女子高に転校したという設定でした。そして、杉原良一の熱烈な求愛ののち、新婚生活を送った地も函館でした。

 

函館の街に育った奈緒実には、札幌から函館まで八時間も汽車に揺られて行くことに、どれほどの勇気も決心もいらなかった。 (『ひつじが丘』)

 

執筆時の1965、66年には、札幌―函館間が「八時間」もかかっていたとは――今では、その半分の乗車時間になりましたが、列車やJRと言わず、「汽車」と呼ぶ北海道人のくせは、当時のまま変わっていないようです。

 

田中 綾

中城ふみ子――三浦綾子と同年生まれの歌人

北海道帯広出身の歌人に、中城(なかじょう)ふみ子がいます。三浦綾子と同年の1922年生まれですが、中城ふみ子は1954年8月、乳がんで闘病中に他界しました。享年わずか、31。

中城ふみ子の短歌が全国的に知られたのは、まさに、最晩年のことでした。「短歌研究」第1回50首の応募で特選入賞、1954年4月号で鮮烈なデビューを果たしたものの、同年9月号では、「追悼特集」が組まれることとなったのです。その劇的な生涯は、渡辺淳一が小説『冬の花火』にも描いています。

さて、没後50年を機に創設された短歌賞「中城ふみ子賞」があります。今年は、第8回作品募集の年で、私も選考委員の1人に名を連ねています。6月2日(土)には、同賞記念講演「歌人としての三浦綾子――中城ふみ子と同年生ミリオンセラー作家の横顔」(仮)を、とかちプラザでいたします。

久々に歌集『乳房喪失』をひらいてみると、「銃口」という一連があり、はっと息をのみました。内容は異なりますが、三浦綾子最後の長編『銃口』と同じ言葉が、ここにあったとは――

 

子が忘れゆきしピストル夜ふかきテーブルの上に母を狙へり

 

銃口を擬されたるとき母は消え未練なひとりの女が立ちゐる

 

4人の子ども(1人は夭折)を愛し、育てた「母」ふみ子でも、通院と闘病で育児がままならず、「未練」に唇をかむ夜もあったのでしょう。けれども、「母」から「ひとりの女」に立ち返ったことで、むしろ、“表現者”としての“中城ふみ子”が誕生し、彼女にしか歌えない世界が拓(ひら)けていきました。

 

冬の皺よせゐる海よ今少し生きて己れの無惨を見むか

 

これは、雪降る日、小樽の親戚宅から札幌の病院に治療に向かう列車で作られたという歌。哀切な歌ですが、自分の「無惨」を見ることよりも、「今少し生きて」という言葉のほうに、生ききることへの切実な想いが託され、代表歌として現在も“生き続けて”います。

 

※「第8回中城ふみ子賞」(新作50首の公募で、4月30日まで受付)についてのお問合せは、帯広市図書館内「中城ふみ子賞実行委員会」へ(TEL:0155-22-4700)

 

田中 綾

ジャガイモから「米」へ――三浦綾子作品と「食」その1

2017年4月28日、三浦綾子記念文学館で、ジャガイモなど食文化を研究する中村剛さん(大谷号さん)に、「ジャガイモ学」についてご講演いただきました。もう、1年近く前になりますね。https://www.youtube.com/watch?v=ZFl2_m1sF00

三浦綾子さんはジャガイモが好きで、味わっている姿の写真はご存じのものでしょう。作中にも、「馬鈴薯」がよく登場しています。

 

さて、大谷号さんの新刊『日本の米 私たちのごはん』東西編は、47都道府県に加え、台湾の米文化も取材・報告したフルカラーの冊子です。その脚力と取材力に感嘆符ばかりですが、各地の「ご飯のとも」の写真にも、お腹がなりっぱなし・・・。

 

それを読みながら、三浦綾子作品に登場する「米」「ごはん」が、気になってきました。

すぐに思い浮かぶのは、「カレーライス」。『氷点』や『ひつじが丘』などで、カレーライスは重要な場面に登場しています。

カレーライスももちろん登場しますが、「米」「ごはん」がさまざまに登場するのは、『天北原野』です。西岡志歩子さんに調べていただいたところ、『天北原野』には、もち米、玄米、鮨、いなりずし、かんぴょう巻、赤飯、雑炊、握り飯……などが描かれていました。太平洋戦争下に配給された「外米」の話題もあり、ありとあらゆる米の描写があるのです。

その中で、私が注目するのは、カレーライスを作る前、お米のとぎ汁をこんなふうに描いた場面です。北海道の定番「松前漬け」の下ごしらえでしょうね。

 

貴乃は米をとぎ、その白いとぎ汁を、紅鉢に入れる。紅鉢にはするめが十枚ほど入っている。柔らかくもどして、醤油漬けにするつもりなのだ。(『天北原野』下巻「煤(すす)」)

 

三浦綾子作品に描かれた「食」、今後も、折々お伝えしたいと思います。

 

※中村剛さん(大谷号さん)の著書情報は、こちらへ~https://ota25.booth.pm/

 

田中 綾

頌春 北海道療育園「三浦綾子文庫」開設を祝して

初春のお慶びを申し上げます。

今年、三浦綾子記念文学館は、開館二十周年を迎えます。

昨年末、その記念行事を先取りするかのような、うれしい場に立ち会うことができました。社会福祉法人・北海道療育園との連携協定事業の1つとして、「三浦綾子文庫」が開設されたのです。100冊以上もの三浦文学が、畳の間(ま)の書架に美しく並び、その書影を眺めるだけでも心が安らぐような・・・。

 

じつに多くの蔵書を寄贈くださったのは、北海道療育園の理事でいらっしゃり、三浦綾子記念文化財団の評議員を長きにわたってつとめてくださった、沼田進さんです。

12月20日当日は、雪深く、寒さにふるえる日でしたが、オープニングセレモニーに出席されたご関係者各位の笑顔に、心身はすっかりあたたまりました。

 

文庫常設の場所は、「福祉村地域交流ホームyou」(旭川市春光台3条10丁目)です。

貸し出しもできますので、お近くの方々、そして、中学校・高校の生徒さんたちにも、ぜひ活用していただきたいものです。

 

さて、毎年、元旦に綾子さんの小説を読むのが習慣ですが、今年は、自伝『石ころのうた』『この土の器をも』を再読。綾子さんのあゆんだ「道」を追体験しながら、この一年(ちなみに、私は戌年の“年女”です)を謹んであゆんでまいります――

 

田中 綾

 

学生と「発見」する、三浦綾子作品の魅力

2017年11月12日(日)、紀伊國屋書店札幌本店1階インナーガーデンで、「一緒に読もう、三浦綾子――若い読者と『発見』する、三浦綾子の魅力」というイベントを開催しました(主催:北海学園大学人文学部 後援:三浦綾子記念文学館)。

霜月なかばとは思われない寒さのなか、多くの方々にご足労たまわり、たいへん励まされました。あらためて、感謝申し上げます。

 

内容は、勤務校で精読している『細川ガラシャ夫人』と『氷点』の魅力を、ゼミ生たちにじかに語ってもらう、というものでした。

ほぼフリートークで進みましたが、ゼミで具体的に「構造分析」しながら読み進めた作品だけに、登壇した4人も、それぞれ堂々と「魅力」を語ってくれました。

 

今年度の1部ゼミでは、女子学生13人と、『細川ガラシャ夫人』の構造を丁寧に分析しながら読み進めました。綾子さん初の歴史小説で、登場人物も多い長編ですが、ゼミ生の話題の中心は、なんといってもオリジナルキャラクターである、「初之助」。

足軽の息子・初之助は、ヒロイン玉子(のちの細川ガラシャ)を要所要所で陰ながら支え、得意の「笛」の音色で玉子を励まし、玉子の没後、殉死するように命を捧げます。「初之助萌えっ♥」という新しい言葉まで誕生しました!

 

2部(夜間部)ゼミでは、男子6人女子3人の9人で、『氷点』を、同じく構造分析しながら読み進めました。綾子さんのデビュー作であり、代表作である『氷点』は、どの人物もきちんと造形され、各人の心理描写も細やかに描かれています。

「モブキャラ(その他大勢という存在)が一人もいない」、というゼミ生の言葉は、近年のライトノベルやゲーム(モブキャラがひじょうに多い)との比較の面からも、確かに「発見」と言えるものでしょう。

 

来年度以降も、ゼミ生と三浦綾子作品を読み、丁寧に構造分析をしていく予定です。また、こういった発表の機会をいただけることを願っております。

 

田中 綾

「ビブリオバトル」を、ご一緒に!

「人を通して本を知る、本を通して人を知る」がキャッチコピーの「ビブリオバトル」は、ご存じでしょうか。

4~5人が、1人5分間で本を紹介し合い、その場に集まった人々と短い質疑応答(ディスカッション)をします。その後、紹介本の中から「一番読みたくなった本」の投票に入り、一番多く票が集まった本が、その日の「チャンプ本」となります。

 

「バトル」という名称ですが、勝敗を競うものではなく、その場の人々が選んだ本の紹介を通して、本/人との出会いを楽しむ“コミュニケーション・ゲーム”が「ビブリオバトル」です。私もこれまで、大学生や高校生のビブリオバトルに参加してきました。「あ、高校生にはこういう本が人気なのか!」など、発見も多く、次の日さっそく、その本を買いに行ったり・・・。

 

「ビブリオバトル」は、10年前の2007年に谷口忠大さんたちがはじめたもので、公式HPにその経緯と魅力がくわしく書かれています。

http://www.bibliobattle.jp/biburiobatoruno-rekishi

現在では、全国「大学」ビブリオバトルや、全国「高校」ビブリオバトルなどが開催され、各地の図書館やカフェなどでも実施されるなど、すそ野も拡がっています。

 

先日、「全国大学ビブリオバトル2017」の予選会の一つを、勤務先の大学で行ったところ、法学部・経済学部・人文学部の1~4年生が参加し、さまざまな本を紹介してくれました。決勝には4人が進みましたが、奇しくもその紹介本は、すべてが“小説”。学生たちが選んだのは、こんな小説でした――

 

・村山由佳『遥かなる水の音』集英社文庫

・青柳碧人『浜村渚の計算ノート』講談社文庫

・志駕 晃『スマホを落としただけなのに』宝島社文庫

・ジェイン・オースティン著 阿部知二訳『高慢と偏見』河出文庫

 

11月11日(土)14:00~16:00、三浦綾子記念文学館で「全国大学ビブリオバトル2017・北海道地区決戦B」が開催されます。北海道内の4大学が出場予定ですので、関心のある方々、どうぞお立ち寄りください。

田中 綾

大学生と、「北海道療育園」「三浦綾子記念文学館」へ

大学生と、「北海道療育園」「三浦綾子記念文学館」へ

 9月8日(金)、大学のゼミ生たちと旭川バスツアーを楽しみました。

 札幌駅→北海道療育園→道の駅あさひかわで昼食→「三浦綾子記念文学館」と見本林散策→道立旭川美術館→大雪地ビール館でおみやげ購入という日帰りの旅で、30人近い車内で、私もバスガイドを初体験(!)しました。

 今年のゼミでは、『細川ガラシャ夫人』と『氷点』を精読しているので、三浦文学館にゼミ生を引率することは以前からの約束でしたが、もう1つ、ゼミ生とともに、旭川市春光台の「北海道療育園」を訪れたいと願っていました。

 この春、三浦文学館と連携協定をむすんだ北海道療育園は、半世紀近くも「福祉の文化化」を進めておられる、重い心身障害者の施設です。その歴史は、同園顧問の江口武氏による『慈育の心を求めて』(『北の療育・別冊』)に詳しいのですが、隣接する「風のギャラリー“彫刻の森”」には、著名彫刻家の17点の作品が、手に触れられるかたちで置かれています。作品のテーマは、“やさしさ”と、“親しみ”です。

 療育園には、幼少時から入園され、数十年の長い期間を過ごしているかたもおられます。その一人一人の命に、“やさしさ”と“親しみ”、そして体温が伝わるような“文化”が隣接していることを、スマホ世代の学生たちとともに見つめたいという願いが、ようやく叶いました。

 岡田喜篤理事長みずから学生たちにお話くださり、松尾彰久専務理事の懇切なご案内と、貴重な資料までいただきました。短い時間しかとれなかったことが、惜しまれます。

 人間は、一人一人が「命」を授かり、その瞬間から、生き続けてゆきます。その命一つ一つが、“生き続ける”ために、文化が、文学が力となることを、北海道療育園と三浦綾子記念文学館は、ともに伝えゆく存在であるとあらためて感じています。

 療育園に向かう道路の両側は、職員の方々や町内会、学校の方々が、丹精に手掛けた「フラワーロード」。この日も、赤や黄色はじめ、鮮やかな彩りで目を和ませてくれました。

 ゼミのみんな、次回はもっとゆっくり時間をかけて歩き、お話を聞き、語り合いましょう。

田中 綾

「三浦文学でフットパス」上富良野・旭川・和寒3市町の“発見”

「三浦文学でフットパス」上富良野・旭川・和寒3市町の“発見”

 8月26日(土)と27日(日)、「三浦文学でフットパス2017」に参加しました。
 三浦作品ゆかりの地を歩く2日間の旅で、初日は、『泥流地帯』の舞台=上富良野町、そして『氷点』の街=旭川市をウォーク。2日目は『塩狩峠』の記念館もある和寒町を歩き、夫婦岩の壮観も堪能できました。

 昨年から始まった「三浦文学でフットパス」ですが、3市町のフットパスプログラム全てをめぐる試みは、今回が初めてです。遠くは東京や兵庫県から、また、道南の函館市からもファンの方々が参加され、うれしい出逢いに満ちた2日間でした。
 私は歩くことが好きで、実は日々「歩数計」をつけて、ちょこちょこ歩きまわっています。今回の歩数は、1日目は2万歩、2日目は1万歩をカウント。森林浴も兼ねたコースで、リフレッシュさせていただきました。

 3市町各地で、心づくしのご案内をたまわったことが、何より印象に残っています。実行委員各位のご厚意と、深く刻まれた地域愛が、言葉を超えてじかに伝わってきたようにも感じます。「人」=「トポス(場所)」=「文学作品」という密接なつながりを、体感することができました。
  “仲間とともに歩き、その土地の来し方を知り、語らう”――これまでも「文学散歩」等はありましたが、フットパスは、その地域の歴史を、ともに歩いた仲間たちと発見/再発見してゆく愉しみがより大きいと実感しました。それはまた、三浦文学の生成過程の発見/再発見にもつながりますね。
 その発見/再発見の1つとして、初日の夜にホテルで行われた交流会では、三浦文学館で好評をいただいている「ミニシアター『泥流地帯』」が上演されました。充実した演出と朗読は、フットパスからさらに知的好奇心を拡げる、新たなプログラムとしても機能していたようです。

 これまでは正直、「文学作品で地域づくり」や「文学で地域間連携」などは難しいと思い込んでいましたが、人と地域が主役のフットパスは、文学=“物語”を添えると、さまざまな可能性が見出せそうです。
 今回は、私にとっての“フットパス元年”。次回は、ご一緒に歩いてみませんか?

田中 綾