ジャガイモから「米」へ――三浦綾子作品と「食」その1

2017年4月28日、三浦綾子記念文学館で、ジャガイモなど食文化を研究する中村剛さん(大谷号さん)に、「ジャガイモ学」についてご講演いただきました。もう、1年近く前になりますね。https://www.youtube.com/watch?v=ZFl2_m1sF00

三浦綾子さんはジャガイモが好きで、味わっている姿の写真はご存じのものでしょう。作中にも、「馬鈴薯」がよく登場しています。

 

さて、大谷号さんの新刊『日本の米 私たちのごはん』東西編は、47都道府県に加え、台湾の米文化も取材・報告したフルカラーの冊子です。その脚力と取材力に感嘆符ばかりですが、各地の「ご飯のとも」の写真にも、お腹がなりっぱなし・・・。

 

それを読みながら、三浦綾子作品に登場する「米」「ごはん」が、気になってきました。

すぐに思い浮かぶのは、「カレーライス」。『氷点』や『ひつじが丘』などで、カレーライスは重要な場面に登場しています。

カレーライスももちろん登場しますが、「米」「ごはん」がさまざまに登場するのは、『天北原野』です。西岡志歩子さんに調べていただいたところ、『天北原野』には、もち米、玄米、鮨、いなりずし、かんぴょう巻、赤飯、雑炊、握り飯……などが描かれていました。太平洋戦争下に配給された「外米」の話題もあり、ありとあらゆる米の描写があるのです。

その中で、私が注目するのは、カレーライスを作る前、お米のとぎ汁をこんなふうに描いた場面です。北海道の定番「松前漬け」の下ごしらえでしょうね。

 

貴乃は米をとぎ、その白いとぎ汁を、紅鉢に入れる。紅鉢にはするめが十枚ほど入っている。柔らかくもどして、醤油漬けにするつもりなのだ。(『天北原野』下巻「煤(すす)」)

 

三浦綾子作品に描かれた「食」、今後も、折々お伝えしたいと思います。

 

※中村剛さん(大谷号さん)の著書情報は、こちらへ~https://ota25.booth.pm/

 

田中 綾