URL変更のお知らせ

いつもご愛読くださり、誠にありがとうございます。
本サイト「綾歌」は、2023年3月1日から新しいサイトへ移行いたします。
したがいまして、2月1日分が本サイトでの最終の配信となり、3月以降は閉鎖となります。

新しいサイトは、こちらです。
https://www.hyouten.com/category/aya-uta
すでに、これまでの記事も移転済みですので、以後、新しいURLでご覧くださいませ。
引き続き、田中綾館長ブログ「綾歌」をお楽しみください。

「あたたかき日光(ひかげ)」連載余話・その3――綾子の短歌をめぐるドラマ

『命ある限り』角川文庫

 北海道新聞に連載中の小説「あたたかき日光(ひかげ)――光世日記より」、おかげさまで順調に掲載され、3月にはいよいよ最終回を迎える予定です。

光世日記からの「新発見」も(ひそかに?)盛り込んでいるのですが、短歌にかかわる私にとって印象深かったのは、12日10日掲載分(38話)に引用した、綾子の未発表短歌という「発見」でした。

元婚約者の西中一郎さんをめぐる話ですが、綾子が結婚後も西中と家族ぐるみで交際していたことは、『命ある限り』(角川書店、1996年)に書かれています。

一九六八年十月六日の夜のこと。私は札幌月寒(つきさむ)教会に招かれて講演をしていた。(略)私は、太平洋戦争の傷手を受けて精神的な荒廃におちいっていた自分を苦々しく思いながら、二人の男性と同時に婚約した愚かさを語っていた。
と、ちょうどその時、左うしろのドアが開いて、一人の男性がひそやかに会場に入って来た。私は思わず「あっ」と声に出すところだった。何とそれは、私が同時に婚約した相手の一人、西中一郎氏であった。
(略)講演が終ると彼は近づいて来て、
「しばらくでした。ところで今夜、うちで食事をしてくれませんか。ワイフの店が焼肉をやっているんですよ」
と、こともなげに言う。全くこだわりもない言い方に、こちらの心も明るくなって、喜んでごちそうになることにした。

三浦綾子『命ある限り』p155~156

光世日記を見ると、その久々の再会の2年後=1970年に、西中が三浦家を訪問したことが書かれています。午後の2時間ほど、食事もしながら歓談し、光世は綾子に短歌を作らせました。

結婚以来、短歌を作る機会はほとんどなかった綾子ですが、なつかしさのせいでしょうか、ごく自然に一首が生まれたようです。

婚約者たりし吾がため煙草断ちし君二十余年後の今も煙草を喫まず

 光世日記では、この歌の後にひとこと「よい歌なり。」とだけ書かれているのですが、その行間に、どれほどのドラマがあったことか――。

「あたたかき日光」の本文では、その前後の三人の心の動きに想像をふくらませていますが、この一首だけで、ぐっと濃厚な短編小説が書けるはず。

みなさま、西中さんの「煙草断ち」をめぐる人間ドラマ、心のおもむくままに執筆してみませんか……?

田中綾


『命ある限り』は現在、角川文庫の電子書籍版、および小学館電子全集でお読みになれます。

頌春 今読める/読みたい三浦光世日記

『ごめんなさいといえる』(小学館文庫 2019)

新年のご挨拶を申し上げます。

昨年春から北海道新聞で連載中の「あたたかき日光(ひかげ) ―光世日記より」は、この3月に、いよいよ最終回を迎えます。 

三浦光世が遺した日記63冊は、当文学館に収蔵されていますが、光世14歳の1938(昭和13)年から、最晩年90歳、2014年までの、76年にわたって書かれた貴重な日記です。

ところで、その貴重な日記の内容の一部は、三浦光世『三浦綾子創作秘話』や、『夕映えの旅人』、『ごめんなさいといえる』など、今すぐに読める文庫本/単行本に採録されていること、ご存じでしょうか。

まずは、『氷点』の執筆開始とその経緯、そして奇跡的な入選=作家デビューに至る1963~64年の日記ダイジェストをここに引用したいと思います。

1963年1月。綾子は、朝日新聞社一千万円懸賞小説募集の社告を見て『氷点』の執筆を始め、光世日記にはそのリアルな現場が書き記されています~

一九六三年一月九日

凡人にとって愚痴は不可避であるかもしれない。しかしその一◯分の一を感謝と自他への激励に振り向けることはそれほどむずかしいことではない筈だ。(中略)
綾子、数日前から長編に着手。努めて雑用をさせない事にする。協力、協力。

一九六三年一月一一月

夜、一一時まで仕事。綾子もせっせと書き進める。
何か上から言葉が与えられている感じがすると言う。
御名を恐れつつ、ハゲメ、ハゲメ。

一九六三年一月二二日

朝、綾子の小説の題、発案。
「氷点」綾子曰く「スバラシイ題デス。さすがはあなたです。」
昼休み、綾子より電話。(略)

一九六三年一二月五日

一日休む。午後、小説の浄書。何と急いでも一枚、七分はかかる。それでは九◯◯枚、年内に間に合わぬ。しかし、「主の山に備えあり」
午後、一時間と思った昼寝が半日となる。あや子と共に。

一九六三年一二月一七日

休暇をとり一日、四◯枚浄書。
よくぞ綾子書いたのう。いや~いや~いや~、書かせていただいたのだ。
忘れてはならんぞ。一一時半。

一九六三年一二月三一日

午前外出。小包を持って旭川本局へ。一二月三一日の消印二箇所。
注文通り鮮明に押捺してもらう。遂に我等の手から主の御手へ。主よ御名が崇められますように。

三浦綾子『ごめんなさいといえる』(小学館文庫、二◯一九年)より

光世の信頼と励ましが伝わる文面で、「書かせていただいたのだ」という部分も、深くしみいる言葉です。

日々の雑感であり、貴重な記録でもある日記。新年の計として、みなさんも今年から日記をつけてみませんか?

田中綾

「くるくると」

『母』(角川文庫)

師走。年末のお掃除など、みなさまはもう始めていらっしゃるでしょうか。
大掃除の時期になると思うのが、三浦綾子の小説にあらわれる、「くるくるとよく働く」という表現です。

・「くるくるとよく働く、金がたまる……」(干支占い? をする五十過ぎの男のセリフ)

『続 氷点』上巻「たそがれ」

・「家の中で掃除したり、料理をしたりして、くるくると働くことのほうが、好きなんですよ」(啓造が、妻の夏枝を評したセリフ)

『続 氷点』下巻「石原」

・幸蔵は、くるくると働く正直一方な若者でね(小林セキの夫の兄の、長男について)

『母』第一章

・それ便所の掃除だ、やれパンを詰める仕事だ、ほれ配達だと、くるくると、よく働いたわけ。(多喜二の商業学校時代について)

『母』第三章

・ご飯炊きしたり、掃除したり、流れ木拾いに行ったりして、ほんとにくるくるとよく働いた。(タミについて)

『母』第四章

・おっかさんの看病と、妹たちの世話と、仲居の仕事と、くるくるとよく働いたもんだ。(タミについて)

『母』第六章

・よくくるくると働き、ひたすら戦友である竜太の面倒を見る姿(近堂一等兵について)

『銃口』下巻「鎧戸 二」

こまめに体を動かし、掃除や洗濯、家族の世話など、よく気がついて丁寧に行う姿が思い浮かびますね。

恥ずかしながら、私は掃除や片付けが苦手で、毎年、師走になると「ああ~もっとこまめに掃除しておけば良かった……」と反省を繰り返しています。そういえば、去年もため息をつき、一昨年も同じようにため息をついていたような(学習しないヒト)。

そのせいか、三浦作品にあらわれる「くるくるとよく働く」という言葉は、ことのほかお気に入りです。連載中の「あたたかき日光(ひかげ)――光世日記より」にも、さりげなく挿入してみたのですが、お気づきでしょうか……?

まばらな家並みにバス停がぽつんとあり、その近くの三浦商店に、くるくるとよく働く四十代らしき「おばちゃん」の笑顔があった。

「あたたかき日光(ひかげ)――光世日記より」 第一章「一千万円懸賞小説」1

『氷点』デビュー以前の「くるくるとよく働く」綾子さんの姿を想像しながら、今年こそは、少し早めに掃除に手を付けたいと思います。

田中 綾

教えて! 全国の図書館さん――「レファレンス協同データベース」

国立国会図書館は、大学院生のころからある意味“聖地”のように訪れている場所です。資料コピーのために日帰り(はるばる北海道から!)で行っても、図書カウンター上部に刻まれた「真理がわれらを自由にする」の文字をしみじみ見つめるだけで充実感を味わえたり、元気をもらえるのです。

近年は、充実したデジタルコレクションを、在宅で活用させていただいています。

その中で最近のお気に入りは、「レファレンス協同データベース」。https://crd.ndl.go.jp/reference/ 国会図書館が「全国の図書館等と協同で構築している、調べ物のためのデータベース」で、図書館に寄せられたさまざまな質問と、その回答が記載されています。

試しに「三浦綾子」で検索してみると~「43件」の事例が画面に出てきました(2022年10月末現在)。そしてこんな質問も、2013年8月に寄せられていました。

Q・「三浦綾子著『続氷点』上巻・角川文庫p.320に引用された「ジェラール・シャンドリ/一生を終えてのちに残るのは、われわれが集めたものではなくて、われわれが与えたものである」のジェラール・シャンドリという人物の詳細について書かれたものはないか。」

対する回答の一部は、

A・「お尋ねの三浦綾子著『続氷点』に引用されている「ジェラール・シャンドリ」について、以下の文献やデータベースなどを調査しましたが、該当する人物は見当たりませんでした。

 シャンドリの原綴については、インターネットの情報をもとに、下記1のデータベースに掲載されていたGerard Chaudryで調査しました。また、『続氷点』にみえるシャンドリの言葉のフランス語と思われる下記1に挙げた句でも調査しました。

なお、類似のレファレンスが、レファレンス協同データベース
https://crd.ndl.go.jp/reference/
にも掲載されていますので、参考までにお知らせいたします。(登録番号 1000052570)

1.citation du jour
 
http://www.evene.fr/citations/citation-jour.php
  Gerard Chaudryで検索すると、
 Ce n’est pas ce que nous avons amasse qui reste apres cette vie,
 mais ce que nous avons donne.
 という文章が出てきますが、それ以上の出典がわかる記述はありません。
 
http://www.evene.fr/tout/gerard-chaudry
 [last access:2013.8.27]
(以下略)

続きもさまざまな書誌情報が書かれていますが、全国の図書館レファレンスご担当の方々は、このように細やかに調査をされ、問い合わせに回答されているのですね。

 『続氷点』に引用された「一生を終えてのちに残るのは、われわれが集めたものではなくて、われわれが与えたものである」の出典については、先月刊行された『三浦綾子生誕100年記念文学アルバム ひかりと愛といのちの作家』

https://www.hyouten.net/?pid=170552872

p91に写真が掲載されています。

フェデリコ・バルバロ編『三分の黙想』(ドン・ボスコ社、1968年)、の「与えること」の章の冒頭に引用されたもので、バルバロ神父が選んだ金言400のうちの1つということです。実は私自身、長く気になっていた言葉でしたので、こちらの情報も、レファレンス回答に加えていただけると嬉しいですね。

田中綾

「三方六」と三浦綾子

柳月 バウムクーヘンベンチに座って
柳月 音更工場の2階展示

北海道・十勝の製菓メーカー「柳月(りゅうげつ)」をご存じでしょうか。

NHK連続テレビ小説『なつぞら』の放映時に、登場する菓子店のモデルではないか……と話題になり、「酪農みるくバターケーキ」は、特に注文が殺到したということです。

先月、池田町立図書館で講演があり、その途中にある音更(おとふけ)町にも立ち寄ることができました。音更町の道の駅の隣には、「柳月」の新工場「スイートピア・ガーデン」があり、ひときわ多くのお客さまが集まっていました。

https://www.ryugetsu.co.jp/sweetpia

「柳月」といえば、銘菓「三方六(さんぽうろく)」が愛されています。白樺の薪を模したバウムクーヘンで、ユニークなその形と、しっとした味わいが特徴です。

 

実は以前から、「スイートピア・ガーデン」の2階にゆかりの人々の展示コーナーがあり、三浦綾子コーナーもある、と伝え聞いていました。

実際に階段をのぼると――ありました! 「三浦綾子先生と柳月」と題して、綾子のエッセイが紹介されていたのです。その横には、当文学館の直筆原稿複製額(『氷点』『塩狩峠』)も飾られており、この場を借りて感謝申し上げます。

綾子が1975年に発表したエッセイ「十勝野と帯広」(『ひかりと愛といのち』所収)を、さっそく読み返してみました。十勝川温泉、鮭のルイベ、そして、銘菓「三方六」のことが楽しげに書かれているのが印象的です。

ところで、他の都市のお菓子屋さんに叱られるのを覚悟でいえば、帯広の街ほど平均してお菓子のおいしい街も珍しいのではないか。それは、小豆の名産地だからか、ビートの名産地だからか。とにかくお菓子がおいしい。とくにあの「三方六」は、わが夫三浦(味にかけてはちょっとばかりうるさい男ですぞ)の激賞してやまないお菓子である。 

「十勝野と帯広」(『ひかりと愛といのち』所収)

その「三方六」ベンチに座って、記念写真をぱちり。ちなみに、「スイートピア・ガーデン」以外ではなかなか手に入らない「大納言」というきんつばもお気に入りです。

スイーツの秋、読書の秋。どちらも楽しんでいきたいですね。

田中綾

2冊の三浦綾子論集

三浦綾子生誕100年というメモリアルイヤーに、
小田島本有氏による『三浦綾子論 その現代的意義』(柏艪舎)
https://www.hyouten.net/?pid=168696978 と、
竹林一志氏による『三浦綾子文学の本質と諸相』(新典社)
https://www.hyouten.net/?pid=168697272
ほぼ時を同じくして刊行され、刺激を受けながら拝読しました。

小田島氏は、三浦綾子の作品から受けた感動を基底とし、読者の享受のしかたそのものに忠実に、解説を試みています。作品に誠実に向かい、土居健郎『「甘え」の構造』(弘文堂、1971年)はじめ、精神医学、社会学等の著作を補助線として、その感動のありかをわかりやすく解説しています。

そして竹林氏は、これまで発表されている先行研究を適切に引用し、さらに、綾子の作品中の文章の出どころ(聖書の引用など)を明らかにし、学術的・実証的に論述しています。また、文体分析とからめて三浦綾子の伝道ストラテジー(戦略)を一つひとつ具体的に明かし、その解明の手法も実に鮮やかです。

異なる方法論による2冊が、ほぼ同時に刊行されたことは、三浦綾子の小説の魅力をさぐるうえでたいへん参考になるものと思います。

さらに興味深いことに、両書には接点もあります。三浦綾子の小説と夏目漱石の小説との、共通点や差異を見出しているところです。

古くは、佐古純一郎氏が「三浦綾子の『氷点』と夏目漱石」(『三浦綾子のこころ』朝文社、1989年所収)において、「人間のエゴイズム」という文学的テーマの系列で、綾子の『氷点』を「漱石山脈の主題性をもっとも正統的にうけついだものといえまいか」と述べていました。その視点が、はからずも、2冊の新刊にも受け継がれているのです。

その、小田島氏と竹林氏のご著書について、文学館ホームページの【案内人ブログ】No.59、No.61で、森敏雄さんが、「『三浦綾子論 その現代的意義』を読んで」、「『三浦綾子文学の本質と諸相』を読んで」と、読後感を早々に発表しています。

No.59 https://www.hyouten.com/oshirase/14975.html

No.61 https://www.hyouten.com/oshirase/15075.html

森さんもいち早く、夏目漱石との接点に注目しておられます。佳き本は、佳き読み手を得られるということの証でしょう。

その意味でも、この2冊はぜひセットで読み味わっていただきたいと願っています。

田中 綾

『泥流地帯』映画化 キャスティング予想2022

7月23日(土)にBS朝日で放映された、三浦綾子生誕100年記念番組「いのちの言葉つむいで」(北海道テレビ=HTBでは、8月7日(日)10時30分~11時25分にも放映)、ご覧いただけたでしょうか。

 https://www.bs-asahi.co.jp/inochinokotoba/ (BS朝日の番組案内より)

 女優でエッセイストの美村里江さんをナビゲーターに、三浦綾子ゆかりの地の美しい自然と、その生涯が描かれ、たいへん見応えがありました。

どのエピソードも、映像やナレーションを活かして効果的に伝わりましたが、あらためて感動したのは、終盤の上富良野町での映像でした。

「泥流の証明」の看板を立てた地層。「開拓する前の地層」の上に、30年もの長い苦労の末に築かれた「開拓した地層」があり、その真上に、圧迫するように、硫黄の香りが残る「泥流地層」が……。たった1日の泥流が、30年もの人々の苦労をひと息に呑み込み、流し去ったことが生々しくうかがえました。

その後、客土を繰り返して復興に至ったわけですが、その説明の後に、NPO法人環境ボランティア野山人理事長の佐川泰正さんが引用された、拓一と耕作の祖父・市三郎の言葉。

「目に見えるものが問題じゃねえ。目に見えないものが大切じゃ」

『泥流地帯』「山合の秋」六より

これらの史実をかみしめたうえで再読すると、いっそうこの言葉の重みが迫ってきます。

 

 さて、『泥流地帯』映画化に向けて、学生たち(大学3,4年生・23人)にアンケートをとってみました。2年前にも試みましたが、新たに名前の上がった役者さんも多く、興味深いです。

みなさまの予想は、いかがでしょうか……?

(公式『泥流地帯』映画化プロジェクト ツイッター)
【公式】『泥流地帯』映画化プロジェクト/三浦綾子(@deiryu_chitai)さん / Twitter

【『泥流地帯』映画化 キャスティング予想2022☆】 

※お名前の後の数字は、回答した人数です。順不同・敬称略。

拓一:鈴木亮平4、菅田将暉、岩田剛典、松坂桃李、三浦翔平、北村匠海、福士蒼汰、山崎賢人、道枝駿佑、仲野太賀、佐藤健、田中圭、ジミー大西、安元洋貴(声優)

耕作:菅田将暉3、窪田正孝3、福士蒼汰2、竹内涼真2、山崎賢人、山田裕貴、生田斗真、吉沢亮、星野源、ムロツヨシ、田中圭、赤羽根健治(声優)

福子:上白石萌音4、森七菜2、上白石萌歌、福本莉子、新木優子、今田美桜、黒島結菜、清野菜名、長澤まさみ、福田彩乃、白石麻衣、広瀬すず、下屋則子(声優)

節子:松岡茉優3、今田美桜2、平手友梨奈、小松菜奈、永野芽郁、橋本環奈、杉咲花、上戸彩、上白石萌歌、芦田愛菜、広瀬アリス、戸田恵梨香、山口紗弥加が若返ってほしい、ガンバレルーヤよしこ、伊藤静(声優)

田中 綾

〈やさしい日本語〉で、三浦綾子を紹介――丸島歩ゼミ&ゼミ生の熱心な活動

丸島歩ゼミ「紐帯」第1号

文の構造が簡単で、日本語学習者にもわかりやすい〈やさしい日本語〉。そんな〈やさしい日本語〉を使って、北海道ゆかりの作家や小説などを紹介する活動に取り組んでいるのが、北海学園大学人文学部の丸島歩先生のゼミです。

ゼミ機関誌『紐帯』の第1号(2021年3月発行)では、市立小樽美術館、市立小樽文学館とも情報交換のうえ、小樽ゆかりの文学者・石川啄木、小林多喜二、伊藤整、岡田三郎、早川三代治を、ゼミ生さんたちが〈やさしい日本語〉で解説していました。

2022年に刊行された第2号では、より時代や地域を広げ、夏目漱石や茨木のり子、西條奈加、そして、三浦綾子と『泥流地帯』も〈やさしい日本語〉で解説されています。

すべてふりがながふられ、日本語を学ぶ人々に具体的に役立つ活動。今後もいっそうの広がりを見せてくださることでしょう。

丸島ゼミの活動は、以下のサイトなどで報告されており、今後も折々アクセスしていきたいと思っています。

Webサイト: https://sites.google.com/hgu.jp/yasajp/
note(Blog): https://note.com/hguyasajp
Twitter(活動報告): https://twitter.com/HGUyasajp

最後に、例として、以下、HGU丸島ゼミのnote2022年1月19日付 https://note.com/hguyasajp/n/na0535d0f1ae7 より、転載させていただきます。

三浦みうら綾子あやこについて
日本にほんの 作家さっかです。
1922
ねん4がつ25にちに 北海道ほっかいどうの 旭川あさひかわで まれました。

たくさんの 有名ゆうめいな 作品さくひんを きました。
旭川あさひかわに 「三浦みうら綾子あやこ記念きねん文学館ぶんがくかん」が あります。
そこに ある 
作品さくひんを 紹介しょうかいします。
かいたひと:みなみ、きょうか、しおみ

田中 綾

「あたたかき日光(ひかげ)」連載余話・その2──ジェームス? ジェームズ!

映画『エデンの東』

「新聞表記的には、ジェーム『ズ』・ディーンです」

 現在、北海道新聞に連載中の小説「あたたかき日光(ひかげ)──光世日記より」。その8回目の原稿チェックのときです。ご担当の部長からメールをいただき、「なんと!」と、間の抜けた声を出してしまいました。

彼はご存じ、1950年代の若きハリウッドスター。三浦夫妻が、その代表作『エデンの東』https://www.warnerbros.com/movies/east-eden を観たという話題で、原稿ではジェーム「ス」・ディーンと表記していました。個人的には、大沢逸美さんのデビュー曲「ジェームス・ディーンみたいな女の子」(1983年)でジェーム「ス」という発音に慣れ親しんでいたので、疑うことすらなかったのですが──検索すると、Wikipediaでもジェーム「ズ」表記となっていてびっくり!

 新聞社のかたにさらに調べていただくと、日本の音楽シーンには、ジェーム「ス」の表記で、岡林信康「ジェームス・ディーンにはなれなかったけれど」(1994年)、Johnny「ジェームス・ディーンのように」(1981年)などの曲があり、夭折の名俳優がカリスマ的な存在だったことがうかがえました。

実は、新聞でも、過去の記事では「ジェームズ」「ジェームス」が同数くらいあったそうですが、厳密にはジェーム「ズ」なのだとか。いつごろからジェーム「ズ」表記が増えたのか、調べてみるのも一興かもしれません。

連載第8回目は、三浦綾子の『愛すること 信ずること』https://www.hyouten.com/hajimeno-ippo/101_aisurukoto の次の記述に合わせて、ジェーム「ス」表記にさせていただきました。光世の「人まね」「声帯模写」が飛び抜けてうまいという話題です~

いつか「エデンの東」の再映を見に行った。その夜、ふとんの中で彼がじっとわたしを見つめている。わたしはその顔を見て、思わずとび上がった。そこにはジェームス・ディーンが、悲しげにわたしを見ているではないか。余りのうまさにわたしはいささかうす気味悪くなったほどだ。そして知った。表情を巧みに真似ることができれば、全くちがった顔立ちの人間でも、その人に似ることができるということを。

三浦綾子『愛すること 信ずること』(1967年、講談社)

 光世さんの「ジェームス・ディーン」顔まね、相当巧みだったのでしょうね。想像しながら『エデンの東』をあらためて観てみませんか?

  田中 綾