頌春 大河ドラマの予習・復習に~『細川ガラシャ夫人』

初春を迎え、みなさまの御多幸を心よりお祈り申し上げます。

今年のNHK大河ドラマ『麒麟がくる』は、戦国時代の明智光秀が主人公ですね。長谷川博己さんが演じ、シャープな光秀像が期待されるでしょうか。 明智光秀の娘といえば、細川ガラシャ(玉子)。そう、三浦綾子初の歴史小説『細川ガラシャ夫人』(主婦の友社、1957年)のヒロインです。

明智光秀の娘・玉子は、16歳で細川忠興に嫁ぎ、子どもにもめぐまれます。ところが、父・光秀が織田信長に叛旗をひるがえしたため、一転、逆臣の娘という立場に。 家族とも引き裂かれ、人間らしい生き方をさぐる中で、信仰に目覚めます。時代はキリシタン弾圧のさなかですが、洗礼を受けることを決意し、みずからの意志を貫くのでした。 そして最期は、細川家の人間という運命にしたがって、38歳の若さで死を受け入れることに――。

フィクションとしての『細川ガラシャ夫人』の読みどころは、三浦綾子によるオリジナルキャラクター「初之助」の存在でしょう。 足軽の息子で、玉子より5歳上の初之助。身分は異なりますが、苦難に遭う玉子(のちのガラシャ)をそっと助け、励まし、最期まで見守るという役割です。 “苦しいことが起こっても、あなたには、必ず助け、寄り添ってくれる人がいますよ”という三浦綾子からのメッセージのような人物といえるでしょうか。

大河ドラマのほうは、明智光秀の前半生ということで、玉子誕生以前の物語かもしれません。ですが、予習・復習に(?)、『細川ガラシャ夫人』をぜひご一読ください。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

※動画中のイラスト2枚は、上小倉宏幸さんの作品です。

田中 綾